ヤングジャンプ No.44(9/27発売) ベスト
ヤングジャンプ No.44(9/27発売) で私のベストは「ヒトヒトリフタリ」でした。
ヒトヒトリフタリ
Life43 所長の流儀
春日総理、福島第一原発4号機を視察
すっかり原発マンガになりました、高橋ツトム先生の作品「ヒトヒトリフタリ」。皆が原発の話題にあまり触れない中、ど真ん中を突いてくる作品です。今回は春日総理が福島第一原発を視察に訪れたところからスタートです。
免震重要棟
司令部のある免震重要棟の前を横切った春日総理は、免震重要棟を「日本をギリギリで支える”クモの糸”か・・・」と心の中で表現しています。免震重要棟の中で、春日総理は所長の原田と面会します。
4号機という”魔物”
「なぜ4号機の視察を希望したのか?」という原田所長の問いに春日は「これ以上最悪の状況にならない1、2、3号機と違い、4号機は内部に1500本以上の燃料棒をかかえるぎりぎりの存在。もし4号機が吹っ飛べば、福島はおろかこの日本が住めない土地になってしまう。」と答えています。
そこから続く話しの中で春日総理は「誤りを正し間違った道から日本を戻したい」と。原田所長は「もうこの国の国民は貧乏には戻れませんよ」と・・。難しい問題ですね。所長の言うことはもっともです。原発なんて今でも打つ手なしなのに、次何か起きたらと思うとぞっとします。単純に考えれば「こんな事故が起こったのに、動かすって選択肢が残るなんてキチガイとしか思えない。」と言ったところですが、では「電気は今の半分まで。廃炉に向けて税金を投入するので生活するのがやっとになりますが協力して」と言われたら困ってしまいますし、「電気足りているから減らす必要ない」とか「政治家が身を削れば、国民までとばっちりはこないだろう」とかいう声が高まるのも想像できます。結局、原田所長の言う通り「国民は貧乏には戻れない」せいぜい数%の節電に協力するぐらいが限界なのだと思います。
この作者、以前の回で春日総理に「不便を強い、生活にまで影響が及び、携帯電話が使えなくなってしまうかもしれない。それでも脱原発に向けて皆で戦おう。」といった様なセリフを言っていた様な気がします。皆が今を捨てていかないと日本は救えないと言っているのだと思います。
日本は原発の是非論が幼稚
これも作中での春日総理のセリフです。「”フクシマ”を経ても日本は原発の是非論すら未だ幼稚なのはなぜかわかるか?それは放射能で人が死ぬということが誰も想像できていないからだ。」と言っています。確かに・・・。フクシマを中心に人がバタバタと死んでいくようなことがあったら、もはや1日、2日の停電が嫌とかそんなこと言ってられなくなります。
現実の自民総裁も福島第1原発を視察
時を同じくして、こちらは現実世界で自民党の安倍晋三総裁が福島第1原発を視察し「政府は原発事故の収束宣言をしたが、とても収束したとは言えない状況だ」と感想を述べたということです。
「ヒトヒトリフタリ」という作品、現実世界を同じスケールで描いた作品。先々、どの様な方向性に展開していくのか、そしてどの様に収束させていくのかとても気になります。