ヤングジャンプ No.3・4合併号(12/20発売) ベスト
ヤングジャンプ No.3・4合併号(12/20発売) で私のベストは「ロンジコーン 番外編」でした。
ロンジコーン 番外編
美容師の日常を描いた作品の番外編
ロンジコーンの主人公「亜砂ジロー」通称「あすなろ」はケンカに明暮れる不良少年でした。とある事に傷ついた彼が1人の美容師と出会った事をきっかけに美容師を目指す、少々型破りな青春ストーリーです。番外編でもここは変わらず、あすなろが見習いとして勤務する美容室ORANGEでの早朝レッスンから始まります。
熱心に練習に励むその日、要注意人物とされる1人のおばあさんがお店を訪れました。このおばあさん、毎回違った人を指名しては文句を言って帰るのだそう。今回は「マリ」さんが指名され、やっぱり「イメージと違う」と文句を言われてしまいました。
セリフ無し、コマだけで想い出を表現する技術
本題はここから。あすなろはおばあさんが忘れ物をしていることに気付いて後を追いかけました。追いつき無事に忘れ物を渡せたものの、そのせいで今度はバスに乗り遅れそうになります。バスまでおんぶでおばあさんを送り届けたあすなろでしたが、そのままバスのドアが閉まりおばあさんの想い出の場所まで2人で行くはめになりました。
そこで、遠い昔に死別したおばあさんの恋人との日々の回想シーンへ。そこから6ページに渡りセリフ無しのページが続きます。感情やセリフを伝える道具は登場人物の表情だけ。でもすごくよく分かりました。セリフがないことで想い出に深みが加わっていました。
想い出の品
忘れ物がおばあさんの想い出の品である「髪飾り」だと分かり、あすなろはおばあさんの髪を再セットすることを申し出ます。早朝レッスンで受けたばかりの注意を気にしながら慎重に丁寧に、おばあさんの人生を感じるかの様にセットしてのけました。美容師としての心構えと、想い出、成長がうまく絡み合った綺麗な内容でした。